「インタレスト・マップ」を使った効果的な自己紹介のやり方

チームビルディングや、ワークショップでのアイスブレイク、自己紹介に使える手法を開発したのでご紹介します。

名付けて「インタレスト・マップ(Interest Map)」です。「インタレスト・マップ」とは、「興味・関心についてのキーワードをマッピングした地図」のことです。

本記事では「インタレスト・マップ」を使った自己紹介のやり方について具体的に説明していますが、他にも応用展開が可能な手法だと思いますので、ぜひ活用方法を考えてみてください。


1. 「インタレスト・マップ」を使った自己紹介の概要

【1】自己紹介の流れ

ステップとしては、

(1)「インタレスト・マップ」をつくる(個人→グループ)

(2)「インタレスト・マップ」を使って自己紹介する

の2ステップですが、その前に、「今日呼ばれたい名前」を書いた名札を各自準備しておくと、スムーズに自己紹介のステップに入ることができると思います。

あるいはワークショップを始める前に「チェックイン」を行い、名前だけは最初に紹介しあっておくのもありです。


【2】所要時間と利用シーン

所要時間は1テーブル4人の場合、

(1)におよそ25〜30分ほど使います。

(2)の自己紹介におよそ20分です。

合計で1時間弱もかかるため、2時間程度のイベント的なワークショップの自己紹介として使うには少し無理があるでしょう。

例えば、多様なメンバーで取り組む長期的なプロジェクトのキックオフミーティングで行うなど、お互いをよく理解ししっかりと信頼関係を構築する必要がある場面で使うのが効果的です。

学校で新しいクラスメート同士でやってみたり、企業で組織やチームに変更があったタイミングで実施するのもよいでしょう。


【3】準備するもの

・模造紙(事前にテーブルに貼っておくのがおすすめ)

・A3のコピー用紙

・2色のポストイット(薄い黄色+1色がおすすめ)

・カラーペン(青色もしくは黒色と、赤色をそれぞれ人数分、なければ1色でもできます)

・一般的なワークショップで使うようなテーブルと椅子(4人掛け)


2. 「インタレスト・マップ」を使った自己紹介の進め方

【1】自分の興味関心ネタを書き出す(個人)

STEP 1:一人ひとりに、ポストイット(薄い黄色)の束とペン(青色)を手元に用意する。

STEP 2:「4つの問い」に対して、答えとなる「興味関心キーワード」をそれぞれ3つ考え、ポストイット1枚につき1つ記入。

回答時間は1問2分です。進め方のコツとしては、あまり時間をかけずタイムプレッシャーのある中、直感で思いついたものを書き出してもらう方がよいので、「問い」は1つずつ順番に出しながら進めるのがオススメです。

「4つの問い」は、ワークショップのテーマや目的、参加者の属性などを考慮して自由に変えることができます。また、「問い」の内容はあらかじめ参加者に分からない方がより楽しめると思います。

例えば、以下のような「問い」が考えられます。

例)子供時代(小学生の頃)にハマっていたものは?

答えは必ず以下の例のようにキーワード(単語)で記入します。アイドル、漫画、アニメ、場所、人、ゲーム、歌、食べ物などなんでもOKです。

稀に参加者の中には悩んでしまってペンが進まない方がいます。そういう時は、上位3つを思い出すというよりも、ふと頭に浮かんだものを記入するように、ファシリテーターが補足するとよいでしょう。事例をいくつか挙げるのも有効だと思います。

興味関心キーワードの例

「4つの問い」に順番に答えていくと、1人あたり12枚の「興味関心キーワード」が書かれたポストイットが出来上がっているはずです。


【2】「インタレスト・マップ(個人)」をつくる

次に、12枚のポストイットを使って個人の「インタレスト・マップ」を作ります。所要時間は2分です。

STEP 1:A3のコピー用紙を1人1枚手元に用意する。

STEP 2:キーワードが書かれた12枚のポストイットをA3用紙に自由にレイアウトする。

「インタレスト・マップ(個人)」の例

A3用紙にレイアウトする時、それぞれのポストイットがあまり重なりすぎないように、声をかけましょう(この後のワークで支障がでます)。

ポストイットの並べ方にも個性や性格が表れるので面白いです。

このワークの目的は、バラバラに書かれた「興味関心キーワード」同士の「つながり」を、短い時間ですが、自分なりに考えてもらうことです(振り返りタイム)。

ワークショップのテーマや目的、「4つの問い」次第では、ここでじっくり内省する時間をとった方が効果的な場合があるかもしれません。

スティーブ・ジョブズの「Connecting The Dots」の考え方もベースにありますので、ご存知ない方は以下の有名なスピーチをご覧ください。「4つの問い」を考える上で参考になることでしょう。


【3】プチハートをプレゼントし合う(他者とつながる)

ここから先は、同じテーブルのメンバーと一緒に行うワークとなります。

STEP 1:個人でつくった「インタレスト・マップ」を全員が左隣の人に渡す。

STEP 2:ペンを青色から赤色に持ち替えて、手元に回って来た「インタレスト・マップ」をざっと眺める。

STEP 3:自分にとって気になるキーワードが書かれたポストイットを見つけたら、ポストイットの余白に小さなハートマークを1つだけ書く。

※制限時間は1〜2分程度。ハートマークをつけるポストイットは何枚でもOK。

※赤色のハートマークが一番きれいに見えるのは薄い黄色のポストイット。

STEP 4:ハートマークをつけ終わったら、さらに左隣の人にマップを回して1周するまで繰り返す。

ここでのコツは、「私も好き」「話を聞いてみたい」「詳しく知りたい」「なんか気になる」「面白い」「共感できる」など少しでも心惹かれるものがあれば、どんどんハートマークをつけていくようにしましょう。

ハートマークを付けあっている時に、「〇〇って何だろう、気になる」とか「〇〇、私も気になるー」といった声があちこちから聞こえてくるでしょう。

ハートマークがつけられた「インタレスト・マップ」

一周すると、上図のようなハートマークがたくさんついた「インタレスト・マップ」がそれぞれの手元に戻って来ます。

ワークショップの参加者が初対面同士だった場合、まだお互いに話したことがないにも関わらず、お互いの距離が少し縮まった感覚が得られているのではないでしょうか。

中には早く会話したくてウズウズした気持ちになっている方がいるかもしれませんが、自己紹介はまだやりません。


【4】「インタレスト・マップ(グループ)」をつくる

個人の「インタレスト・マップ」が完成したら、今度はグループの「インタレスト・マップ」をつくります。

つまり、グループメンバー全員のポストイット全てを使って、模造紙全体にメンバー全員の興味関心の地図をつくるのです。

STEP 1:個人の「インタレスト・マップ」に貼られたポストイットを用紙から剥がしながら、順番に模造紙に貼る。

※意味的に近いポストイットはそれぞれ近くに貼る。
※自分が書いたキーワードを読み上げ、メンバーと共有しながら模造紙の上に貼っていくとよい。

STEP 2:ある程度まとまりができたらグループタイトルを付け、黄色以外のポストイットに書いてポストイットの塊の近くに貼る。

※10枚以上が1つのグループになるようでしたら、2つか3つに分割できないか考える。
※1枚だけ孤立するポストイットがなるべく少なくなるように分類方法を考える。
※境界をよりわかりやすくするために、まとまりごとに線で囲むとよい。

このワークの目的も、「お互いにつながりをつくる」ことです。所要時間は10分なので、全員で手と口を動かしながらどんどん進めていく状況ができていればいいと思います。

コツとしては、あまり厳密にやり過ぎないということです。全員の合意は不要ですので、配置に関してはキーワードを書いた本人がよければよしとしましょう。

それぞれのグループのタイトルを書く時も、1つずつみんなで相談して決めていくよりも分担してとりあえず全部書いて貼ってから、話し合うほうが早いです。

それから、難しいかもしれませんが、グループやチームとしての性格や個性が伝わってくるようなユニークなタイトルがたくさん見つかるように分類するのがおすすめです。

「仕事」「趣味」というタイトルよりも、「酒好き」「車好き」みたいなタイトルが並んでいたほうが、グループやチームとしての特徴がでますよね。

グループでつくった「インタレスト・マップ」


【5】「インタレスト・マップ」を使って自己紹介をする 

いよいよ自己紹介タイムです。一人ひとり順番に自己紹介していきます。

STEP 1:「インタレスト・マップ」を使って、「興味関心」をテーマに自己紹介をする。

STEP 2:次はQ&Aタイム。3分間フリートークを楽しみましょう。

STEP 3:終わったら、次の人が自己紹介を始める。全員が終わるまで繰り返す。

一人あたり合計5分なので、4人テーブルの場合は約20分の自己紹介タイムとなります。

自己紹介する方は「インタレスト・マップ」のポストイットを指で示しながら行うと、聞いているメンバーはわかりやすいです。


3.「インタレスト・マップ」を使った自己紹介の効果

この手法の面白いところは、あらかじめ自己紹介で話す内容を準備していてもあまり意味がないということです。

たとえ、最初に個人で書く「興味関心キーワード」が毎回すべて同じだったとしても、同じグループになるメンバーが変われば、当然ですがそれぞれのメンバーが書く「興味関心キーワード」も変わります。その結果、グループでつくる「インタレスト・マップ」の形は毎回異なります。自己紹介では、「インタレスト・マップ」を使うことが前提となりますので、自己紹介で話す内容は同じにはならないのです。

自分の話したいことを一方的に話すのではなく、聞く側の立場にも配慮することで自己紹介の効果を高めることを狙っていますが、そのバランスについては話す本人が選ぶことができます(必ずしもハートマークがたくさんついたキーワードについて話す必要もありません)。


いかがでしたでしょうか?

まだまだ実績の少ない手法ですが、自己紹介だけにとどめず色々試してフィードバックをいただけると嬉しいです。シェアも大歓迎です。


この「インタレスト・マップ」を活用したワークショップがあります。ぜひ実際に体験してみませんか?【終了しました】

みんなの助けを借りて自分の可能性を拡げる「新年の抱負づくり」ワークショップ

日時:1月16日(火)19:00~21:00

場所:PLY(東京都大田区)